- 作者: 前田珠子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2016/12/01
- メディア: 文庫
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感想としては「案外内容も進んだ気がする」、感情としては「カタルシスが足りないなあ」。ネット上のあちこちで言われてる「“泥闇とモブ”エピソードってほんとに必要なの?」という気持ちには案外なってない。実際、世界観の広がりを描く手段としては好きなんですよね。しかしながら、本編がこの牛歩……蝸牛……状態なので、これであの薄っぺらい本の半分を持っていかれてると思うと確かに微妙な気持ちにもならなくもない。わたしが残念がっているのは、どうも書き方で損してる気がしているから。泥闇と燦華のやりとりとか「まだやるのー……?」とげんなりしながら読んだんだけど、「至上と信じた神に裏切られた失意」と「主人に裏切られた手足の暴走」が連なって世界の破滅に至る、とかなかなか壮大なことになっているのに、長々だらだら思考する文章が続くせいで緊張感が欠片もない。今更言っても仕方ないんだが、なんかこう……この……誰か意見する人いないんですか、これで?
愚痴になってしまった。何書けばいいんだとか言いながらけっこう書いたな。お話に対する思い入れは強いんですよ、本当に。ピンチに陥ったとき「こんなときには」と言いながら何かを思い出す描写が入り、すわラブ展開かと思いきや、安定のラエスリールさんは紅蓮姫のことしか考えてなくて笑ったりとかしたんですけどね。
余談。アマゾンレビューとかついてんのかなーどんなこと書いてんだろと興味本位で見にいったらほぼ全編ネタバレのレビューがついてて「そりゃ確かに話は薄っぺらいが、さすがにあんまりな仕打ちではないだろうか」と思った次第です。